「害虫市民フォーラム」でトコジラミの講演をしました。
トコジラミ問題をどう解決するか〜防除の実際〜
社団法人 日本ペストコントロール協会 技術委員長 元木貢(学術博士）
�機ゥ肇灰献薀濛从�はなぜ難しいか
1．海外からの旅行者がホテルに持ち込む
2．簡易宿泊所などの住人が、サウナ、 電車、喫茶店、図書館などに持ち込み、利用者が偶発的に持ち帰る
3．刺されても最初は被害に気付かない
●知らずに蔓延してしまう
●初めて刺されると痒くない
●吸血時間は平均１５分（7〜27分）
●刺し口は1カ所が半数以上（2〜7カ所）
●1個体の吸血を1週間に1回行ったところ、最初の3回までは皮膚炎は生じなかった。4回目で刺咬の翌日から痒みを伴う紅斑が出現
●5回目以降は毎回、刺咬の翌日に紅斑が出る。2〜3日で痒みや紅斑がピークになり、4〜5日で軽快した(遅延型アレルギー反応）。
●さらに吸血を繰り返すと、吸血の直後から痒みや紅斑（即時型アレルギー反応）。 (夏秋: 2009)
●過去に吸血経験がなく感作が成立していないと、1回に多数の個体による吸血を受けると、1〜2週間のうちに感作が成立、吸血部位に皮疹が生じる(遅発反応）。
4．初期の発見が難しい
5．被害を公にできない
6．営業上抜本的な対策が打てない
7．交尾した雌1匹から増える （吸血すると繁殖が始まる）
8．繁殖力が強い
9．あちこちに移動・拡散する
●拡散は、物品への産卵・付着と歩行による移動
●トコジラミの住み着いたベッド・ソファーに長時間座ったとき、部屋に長時間カバン・スーツケースを置いたとき、衣類ケースに入れたとき などに付着・産卵され他の箇所へ拡散する
●ホテルやアパートの部屋間で頻繁に往来する場合(人、スリッパ、物品)
●ホテルで使用したシーツ類に付着し、カートと共に広がる
●すでに汚染されたエクストラベッドの使いまわし
●隣の部屋とつながる各種配管(電気、水道、ガス、排水管等)、天井裏、和室の畳の下のスノコ、玄関ドアなどを伝って移動する
●トコジラミがついた古着や家具を購入する
●何度も交尾したメスは(5回というケースがある)、体力回復のためオスから逃げ出し、あちこちに産卵する。
●メスのいなくなった集団からオスは離れる。
10．低温・飢餓に強い
●絶食させたまま、10℃で最高2年近く生存、 正常に卵を産んだ
●0℃でも6ヵ月生存したものがあった。 （大森：1977）
11．市販殺虫剤が効かない
�供ゥ肇灰献薀澆龍扈�法
●薬剤による駆除
●室内加熱による駆除
●布団乾燥車による駆除
●スチームによる駆除
●冷却スプレーによる駆除
●掃除機による吸引
●マットレスケース
●コーキング
1. １匹見つけたら
●ティッシュでつまむ
●市販のエアゾール剤を直接噴霧 （近くで噴霧すると吹き飛んでしまうので、 遠くから徐々に近づきトコジラミに8秒程度直接噴霧）
●念のため周囲の隙間に吹付ける（フラッシング効果があり、しばらくすると飛び出してくる）
●肌が直接触れる場所にはかけないこと
2. 複数見つけたら
●効果が期待できる殺虫剤を発見場所の周囲の隙間に噴霧する。
●肌が直接触れる場所にはかけないこと
●薬局で買える効果が期待できる殺虫剤
3. それでも駆除できなければ
●早めに専門業者に依頼する
●社団法人日本ペストコントロール協会に所属する各県協会の害虫相談所に問い合わせる。
http://www.pestcontrol.or.jp/pcga/index.html
4. ホテルにおけるトコジラミの対策（例）
●客室従業員の教育、自主点検
●被害が発生したら 、直ちに綿密に調査する
●トコジラミが発見されたら
→部屋は収束するまで売り止めにする
→ドアの隙間を塞ぐ
→他の部屋に拡散しないように、寝具の移動や掃除用具を共有しない
→薬剤散布（標準3回実施）
・有機リン剤による隙間残留噴霧（50ｍｌ/�屐�
・ノズル式ＵＬＶによる微粒子吹付け（5ｍｌ/�屐�
→寝具その他の熱乾燥
→効果判定（１回）
→薬剤処理後少なくとも３日間は換気してから部屋の使用を再開する
→使用を再開する際は、宿泊客に殺虫剤を散布した旨事前に了解をとる
害虫市民フォーラム（トコジラミ）2013.3配布資料.pdf (6MB)
