アメリカカンザイシロアリ発生事例
The case study of infestation of Incisitermes minor (Hagen)
The case study of infestation of Incisitermes minor (Hagen)
元木 貢・原正次郎(アペックス産業株式会社)
Mitsugu Motoki・Shojiro Hara(Apex Sangyo Co., Ltd.)
Mitsugu Motoki・Shojiro Hara(Apex Sangyo Co., Ltd.)
2012年10月、築40年を越える鉄筋コンクリート5階建て病院で、3階にある病室の木部窓台部分で虫による被害が出たとのことで調査したところ、噴出孔から特有の糞が排出され、被害部分でシロアリの職蟻と兵蟻が確認され、アメリカカンザイシロアリと同定された。被害は窓台全体に広がっていたが、室内及び病院内の他の木部部分には見られなかった。病院と同じブロックと、通りを隔てたブロックを調査したところ、各所に糞が見られ、外壁や塀に被害が散見された。数件隔てた空き家には敷居部分に糞が多数見られ、地域一帯に繁殖している様子がうかがわれた。
病院が所在する地域一帯にアメリカカンザイシロアリが生息していることから、有翅虫が3階の窓に飛来し、老朽化した窓枠の隙間から内部に侵入し、窓台に潜り込んで繁殖したものと推察された。
窓台は防蟻剤を注入し駆除した。病院内には木部が少ないことから、年2回、定期的に害虫防除を実施するときに点検することを提案した。この事例から推察すると、アメリカカンザイシロアリの生息地域では、有翅虫がわずかな隙間から家屋内に侵入することが予測され、今後の被害の拡大が懸念される。
なお、2013年4月に、1階の窓台にも同様の被害が発生した。