IPMに基づく防除の実態と問題点に関する調査結果について
○ 元木 貢・清水 一郎・坂上 茂雄・谷川 力・渡邊 賢太郎
石向 稔・小松 謙之・渡邉 徹・伊藤 弘文・佐々木 健
田中生男 (社団法人 東京都ペストコントロール協会)
平成15年4月1日に「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」の政省令改正が施行され、生息調査が導入された。しかしながら、具体的な調査方法に関して示されていなかったため、平成20年1月25日、厚生労働省から都道府県知事、政令市市長、特別区区長に「建築物環境衛生維持管理要領」「建築物における維持管理マニュアル」が通知され、IPMに基づくねずみ昆虫等防除の考え方、手順、施工方法等が具体的に示された。通知が出てから3年が経過したが、景気低迷も相俟って、IPMの理念が建築物所有者、管理者、使用者、PCOになかなか浸透していないように思えた。そこで、東京都の建築物衛生に関わる職員、東京ビルメンテナンス協会会員、東京都ペストコントロール協会会員にそれぞれ協力を得て、アンケートを送付し回答をとりまとめた。
行政関係者:IPMはほとんどの職員が知っており、IPMは適切な方法で、人の健康や環境への配慮を期待していた。評価の基準は、防除効果と殺虫剤の減少を重視していた。障害となるのはビルオーナー、元請、テナントの理解不足で、PCOの技術不足としたのは10%に過ぎない。全般的には、調査や効果判定は概ねよくやられており、生息状況も改善されたが、報告書は改善の余地があるという回答であった。
ビルメン関係者:「IPMを知っている」が67%、「IPMは良い考え方だ」が46%、「コストが上がると思う」が29%だった。トラップ調査、効果判定、事前通知、掲示、清掃、防鼠工事は大半で実施、契約金額は減少傾向にもかかわらず、発生状況は改善されてきているとみていた。全体の印象としては、IPMが徐々に普及し、現場の改善が進んでいるが、オーナーやテナントの関心や協力、評価は変わらないとしている。
PCO関係者:IPMの防除はまあまあうまくいっていると見ている。生息調査・効果判定や報告書の作成、肉体的な負担が増える一方で、売上額、経常利益、薬剤費が減少した会員が多い。薬剤処理の事前通知・掲示も浸透してきており、現場の生息状況が改善され、社員の調査技術が向上し、意識が変わっている割には、依頼者の評価や協力、理解が得られにくく、関心が薄い状況が見られ、PCOが導入に苦慮している様子が窺われた。
調査結果から読める三者間の違いや問題点について報告する。